JavaScriptオブジェクトを繰り返し処理するには？

オブジェクトを繰り返し処理することは、JavaScriptプログラミングの基本的な作業です。配列とは異なり、JavaScriptのオブジェクトはデフォルトでは反復可能ではありません。つまり、forEach()やmap()、for...ofループのようなメソッドをオブジェクトに直接使うことはできません。しかし、オブジェクトのプロパティをループし、キーと値の両方にアクセスする方法はいくつかあります。この記事では、JavaScriptオブジェクトを効率的に反復処理するさまざまな方法を、その構文、例、使用例とともに紹介します。

キーポイント JavaScriptのオブジェクトは本質的に反復可能ではありませんが、プロパティをループするためのメソッドがいくつか存在します。for...inループは伝統的ですが、hasOwnProperty()チェックが必要です。一方、Object.entries()とmap()/forEach()、Object.keys()とforEach()、Object.values()などの新しいメソッドは、より合理的なアプローチを提供します。Lodashの_.forOwn()メソッドは、すでにライブラリを使っている人にとって便利な構文を提供します。反復メソッドの選択は、ブラウザの互換性要件、コードの読みやすさ、特定の使用ケースに依存します。性能はメソッドによって多少異なりますが、ほとんどのアプリケーションではその差は無視できるほど小さく、開発者はコードの明快さと保守性を優先すべきです。

方法1：for...inループを使う

for...inループは、オブジェクトのプロパティを繰り返し処理する伝統的な方法です。オブジェクトのキーと値の両方にアクセスすることができます。以下はその仕組みです：

構文：

for (let key in object) { (オブジェクトにキーを入れる)
  if (object.hasOwnProperty(key)) { // keyとobject[key]で操作を行う。
    // keyとobject[key]で操作を実行する。
  }
}

例

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

for (let key in person) {
  if (person.hasOwnProperty(key)) {
    console.log(key + ': ' + person[key]);
  }
}
Output:
name: John
age: 30
city: New York

ループ内でhasOwnProperty()メソッドを使用して、キーがプロトタイプ・チェインではなくオブジェクト自身に属するかどうかをチェックすることが重要です。これにより、オブジェクト自身のプロパティのみを繰り返し処理し、継承されたプロパティを避けることができます。

for...inは、オブジェクトのプロパティを繰り返し処理する簡単な方法です。しかし、これにはいくつかの制限があります：

• これは、プロトタイプ・チェインから継承されたものも含めて、オブジェクトのすべての列挙可能なプロパティを繰り返し処理します。そのため、hasOwnProperty()を使って継承されたプロパティをフィルタリングする必要がある。
• 反復の順序は保証されない。プロパティは定義された順番通りにアクセスされるとは限りません。

このような制限があるにもかかわらず、for...inループは、その単純さと幅広いブラウザのサポートにより、オブジェクトの反復処理によく使われる手法であり続けている。

方法2：Object.entries()メソッドとmap()メソッドを使う

Object.entries()メソッドは、JavaScriptに新しく追加された（ECMAScript 2017で導入された）メソッドで、与えられたオブジェクト自身の列挙可能な文字列キー付きプロパティ[key, value]ペアの配列を返す。そして、map() メソッドを使用して配列を繰り返し処理し、キーと値にアクセスすることができます。

構文：

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

for (let key in person) {
  if (person.hasOwnProperty(key)) {
    console.log(key + ': ' + person[key]);
  }
}
Output:
name: John
age: 30
city: New York

例

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

for (let key in person) {
  if (person.hasOwnProperty(key)) {
    console.log(key + ': ' + person[key]);
  }
}
Output:
name: John
age: 30
city: New York

Object.entries() メソッドは、オブジェクトからキーと値のペアの配列を取得する便利な方法を提供します。これを map() メソッドと組み合わせることで、配列を簡単に反復処理し、それぞれのキーと値のペアに対して操作を実行することができます。

Object.entries()を使用する利点の1つは、プロトタイプ・チェインから継承されたプロパティを除いて、オブジェクト自身の列挙可能なプロパティのみを返すことです。これにより、追加のhasOwnProperty()チェックが不要になります。

ただし、Object.entries()は古いブラウザ（Internet Explorerなど）ではサポートされていないことに注意してください。ブラウザの互換性が気になる場合は、ポリフィルや別の方法を使用する必要があるかもしれません。

Object.entries()の詳細については、 MDNのドキュメントを参照してください。

方法3：forEach()メソッドとObject.keys()メソッドを使う

Object.keys()メソッドは、与えられたオブジェクト自身の列挙可能なプロパティ名（キー）の配列を返します。forEach() メソッドを使用して、キーの配列を繰り返し処理し、キーを使用して対応する値にアクセスできます。

構文：

Object.keys(object).forEach(key => {
  // Perform operations with key and object[key]
});

例

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

Object.keys(person).forEach(key => {
  console.log(key + ': ' + person[key]);
});
Output:
name: John
age: 30
city: New York

Object.keys()とforEach()を組み合わせて使用すると、オブジェクトのキーを繰り返し処理し、対応する値にアクセスすることができます。このメソッドは、オブジェクトのキーだけが必要で、そのキーに基づいて操作を行いたい場合に便利です。

Object.entries()と同様に、Object.keys()はオブジェクト自身の列挙可能なプロパティのみを返すので、hasOwnProperty()を使用して継承プロパティをフィルタリングする必要はありません。

Object.keys()の詳細については、 MDNドキュメントを参照してください。

方法4：Lodash _.forOwn() メソッドを使う

Lodashは人気のユーティリティ・ライブラリで、オブジェクトや配列を操作するための便利な関数を提供しています。すでにプロジェクトでLodashを使っている場合は、_.forOwn()メソッドを活用して、オブジェクト自身のプロパティを繰り返し処理することができます。

構文：

_.forOwn(object, (value, key) => {
  // Perform operations with key and value
});

例

const _ = require('lodash');

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

_.forOwn(person, (value, key) => {
  console.log(key + ': ' + value);
});
Output:
name: John
age: 30
city: New York

_.forOwn()メソッドは、オブジェクト自身の列挙可能なプロパティを繰り返し処理し、コールバック関数に値とキーを提供します。これは、プロジェクトですでにLodashを使用している場合、object.entries javascriptを通したfor...inループに代わる便利な方法です。

Lodashを使用するには、ライブラリをインストールし、プロジェクトにインポートする必要があります。他の目的でLodashを使用しない場合は、オブジェクト反復のためだけにLodashを使用する必要はないかもしれません。

Lodashとそのjsループ・スルー・オブジェクト反復メソッドの詳細については、 Lodashドキュメントを参照してください。

方法5：Object.values()メソッドとforEach()メソッドを使う

Object.values()メソッドは、与えられたオブジェクト自身の列挙可能なプロパティ値の配列を返します。forEach()メソッドを使用すると、オブジェクトjavascriptで値の配列を繰り返し処理することができます。対応するキーも必要な場合は、Object.keys() メソッドを併用します。

構文：

Object.values(object).forEach((value, index) => {
  const key = Object.keys(object)[index];
  // Perform operations with key and value
});

例

const person = {
  name: 'John',
  age: 30,
  city: 'New York'
};

Object.values(person).forEach((value, index) => {
  const key = Object.keys(person)[index];
  console.log(key + ': ' + value);
});
Output:
name: John
age: 30
city: New York

Object.values()を使用すると、オブジェクトの値を直接反復処理できます。対応するキーも必要な場合は、Object.keys() を使用して、値と同じインデックスのキーにアクセスします。

このメソッドは、主にオブジェクトの値を操作し、必要に応じてキーにアクセスする必要がある場合に便利です。

Object.values()の詳細については、 MDNドキュメントを参照してください。

まとめ

この記事では、JavaScriptのイテレート・オブジェクトを反復処理するさまざまな方法を探った。それぞれのメソッドには独自の利点と使用例があります：

• for...inループは、オブジェクトを繰り返し処理する伝統的な方法です。これはシンプルで広くサポートされていますが、継承されたプロパティの反復処理を避けるために、hasOwnProperty()チェックを追加する必要があります。
• Object.entries() メソッドを map() や forEach() と組み合わせることで、 オブジェクトのキーと値の両方に簡潔にアクセスできるようになります。hasOwnProperty()は不要になりますが、古いブラウザではサポートされていない可能性があります。
• Object.keys()メソッドは、forEach()と同様に、オブジェクトのキーを反復処理し、対応する値にアクセスすることができます。主にキーを操作する必要がある場合に便利です。
• Lodash _.forOwn()メソッドは、プロジェクトですでにLodashを使用している場合に便利なオプションです。これは、オブジェクト自身のプロパティを繰り返し処理するためのきれいな構文を提供します。
• Object.values()メソッドは、forEach()と組み合わせることで、foreachオブジェクトの値を反復処理することに焦点を当てます。キーも必要な場合は、Object.keys() を併用できます。

JavaScriptのオブジェクトを反復処理するメソッドを選択する際には、ブラウザの互換性、コードの読みやすさ、ユースケースの具体的な要件などの要素を考慮してください。どのメソッドを選択するにしても、オブジェクトを効果的に反復処理する方法を理解することは、効率的なJavaScriptプログラミングにとって非常に重要です。

よくあるご質問

for...inとObject.entries()の違いは？

for...inループは、プロトタイプ・チェインから継承されたものも含め、オブジェクトのすべての列挙可能なプロパティを反復処理します。継承されたプロパティの反復処理を避けるために、hasOwnProperty() による追加チェックが必要です。一方、Object.entries() は、指定されたオブジェクト自身の列挙可能な文字列キー付きプロパティ [key, value] のペアの配列を返します。Object.entries() は、オブジェクト自身のプロパティのみを含み、継承されたプロパティは含みません。

キーだけが必要な場合、あるいは値だけが必要な場合、どのメソッドを使うべきでしょうか？

js iterate オブジェクトのキーだけが必要な場合は、Object.keys() メソッドを使用できます。このメソッドは、指定したオブジェクト自身の列挙可能なプロパティ名 (キー) の配列を返します。値のみが必要な場合は、Object.values() メソッドを使用できます。このメソッドは、指定したオブジェクト自身の列挙可能なプロパティ値の配列を返します。

どちらの方法がより速く、より効率的か？

異なるメソッドのパフォーマンスは、JavaScriptエンジンとオブジェクトのサイズによって異なります。一般的に、for...inループは、forEach()でObject.entries()やObject.keys()のようなメソッドを使用するよりも若干速いと考えられています。しかし、極端に大きなオブジェクトを扱わない限り、パフォーマンスの差は無視できるほど小さいことが多い。特定のパフォーマンス要件がない限り、コードの可読性と保守性を優先することをお勧めします。

キーの順序を保持したまま、オブジェクトのエントリーを反復処理するにはどうすればよいですか？

JavaScriptのオブジェクトは、デフォルトでは順序付けされておらず、キーの順序は保証されていません。オブジェクトのプロパティを特定の順序で反復処理する必要がある場合、いくつかの選択肢があります：

• Object.entries()メソッドを使用して、[key, value]のペアの配列を取得し、キーに基づいて配列をソートし、ソートされた配列を繰り返し処理します。
• 希望する順序でキーの配列を作成し、そのキーを使ってオブジェクトから対応する値にアクセスする。
• Mapはキーと値のペアの挿入順序を維持するので、オブジェクトの代わりにMapを使う。オブジェクトをMapに変換するには、new Map(Object.entries(object))を使います。

これらの反復メソッドでアロー関数を使用できますか？

はい、map()、forEach()、_.forOwn()などのメソッドでアロー関数を使用できます。アロー関数は、関数式を書くための簡潔な構文を提供します。例えば

Object.entries(person).map(([key, value]) => {
  console.log(key + ': ' + value);
});

ただし、アロー関数はレキシカルなthisバインディングを持っており、周囲のスコープからthis値を継承していることに注意してください。反復コールバック内でthisコンテキストにアクセスする必要がある場合は、代わりに正規関数式を使用する必要があるかもしれません。

オブジェクト反復のための他のライブラリやメソッドはありますか？

そう、オブジェクト反復のためのユーティリティを提供するライブラリやメソッドは他にもいくつかある。よく使われるものには次のようなものがある：

• Underscore.js：オブジェクトを反復処理するための _.each() メソッドを提供します。
• Lodash：オブジェクトの反復処理のために、_.forOwn()、_.forIn()、_.forEach()などのさまざまなメソッドが用意されています。
• jQuery：オブジェクトの反復処理に使える $.each() メソッドがあります。

これらのライブラリーは追加機能を提供するので、すでにプロジェクトで使用している場合は役に立つだろう。しかし、基本的なオブジェクトの反復処理が必要なだけなら、この記事で取り上げたJavaScriptのネイティブメソッドで十分です。

反復方法の選択は、特定の要件、コードベース、個人的な好みに依存することを忘れないでほしい。さまざまなアプローチを試してみて、あなたの特定のユースケースにおいて、コードの可読性、保守性、効率を高めるものを選んでください。